長岡亮介のよもやま話176「戦う相手を選んで戦う(TALK9/20)」

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 世間ではコロナウイルスは一段落という認識が一般化しているようで、日本各地に数年前の平成な日々が戻ってきている。良く言えば活気を呈しているということでありますが、医学的に言うと「感染の拡大は止まっていない」と言うべきで、幸いなことにコロナウイルスが従来のような非常に急性の症状を起こして、人の命を奪うということはなくなったということは言えますけれど、一方で、重篤な患者の命を奪うような難しい病気の流行は、赤ちゃんも含めて拡大しているわけです。そういう“疫病”という言い方、英語で言えばPlagueっていうんでしょうね。昔はペストがその典型であったということだと思いますが、人類は何回も何回もそのような災厄に見舞われて、そのたびに何とか立ち上がってきたわけです。

 私達にとって真に怖い疫病、それは疫病というんではなくて、人間が疫病と関係なく起こす被害、テロリズムとか、戦争とか、そういうものではないかと私は思うんです。現代の疫病のような、広がったそういう世界中の暴力、それに対して私達は、有効な手立てを持っていません。何とか有効な手立てを少しでも大きく拡大するために、世界中の人々と知恵ある連帯、知恵のもとに結集する結合、それを作っていくことが一番大切なことではないかと思うんです。私は私、君は君というのではなく、「私が生きているのもあなたのおかげ。あなたが生きているのも私の存在があればこそ」、そういう人間的な関係、これをきちっと確実なものにする。そしてそれをより広いものにする。そのために、私達の日々の努力が継続できたらいいですね。私達は疫病にはかなわない。しかしながら、私達は、疫病よりももっとひどい「人間が人間に対して起こす暴力」、それに対して、断固戦う。そういう戦える相手を選んできちっと戦うということ、これが大切なんではないかと私は考えます。

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